アイテム点数を増やすことの功罪を考える。

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こんにちは、インディ(@aiirodenim)です。

アパレルブランドは、アイテム点数を増やすことには慎重になるべきです。

なぜなら、アイテム点数を増やすブランドの目的には、光と影があるから。

具体的に言うと、アイテム点数を増やすことによる、ブランドの世界観を広げるためのポジティブな戦略と、ただアイテム点数を増やして流通へ販売し会社の売上をあげたいネガティブな目的、という2種類があります。

「アイテム点数を増やすこと」自体が目的化すると、「品質」が置き去りにされる傾向があるため、一歩間違えるとブランドイメージが低下する可能性もあることに企業は留意しなければなりません。

それが「モノへのこだわり」を打ち出すアメカジブランドであれば、尚更。

目次

カタログを眺めて思った

こんなこと書く理由ですが、つい最近、とある有名なアメカジ系ブランドの2018年春夏のカタログを眺めていたら、著しくアイテムが増えていたので…そんなことを思った次第。

全体を通して見て、ラインナップに統一感が薄くて・・・ちょっと心配になりました。モノを手に取って見てないのでなんとも言えませんが、全て「品質・こだわりに手抜きなし」、であることを祈るばかりです。

どの業界でも、手取り早く売上をあげる手段

どの業界のメーカーにとっても、アイテム点数を増やすことは瞬発的に売上を上げるために有効です。

特に流通先を多くもつメーカーさんは、アイテム点数を増やしても取引先さんは取り敢えず買ってくれますから、卸の売上が上がりやすい。

全業界共通、営業部署が手っ取り早く会社で評価されるための「常套手段」。

でも、きっとその先はこうなるんです。

良いものを作る以上に、昨年よりも売上を上げることが毎年のミッションとして与えられ、

その売上を達成するために、商品の質ではなく、アイテム点数を増やすことがその手段になってくる。

多くのアイテムを短期間に開発する必要があるので、アイテムごとの品質の追求が薄れていく。

(アパレルの場合、商品の企画から生地選び、サンプル製作まで、全て外注任せのパターンも出てくる。)

で、こうなると素人目でも明らかにメーカー・ブランドの魅力が低下していく。

小売店で商品が売れ残ることが増えてくるでしょう。

そうすると、ブランドさんはアイテムごとの生産数が減少、その最後のシワ寄せは、工場に。

残る在庫、泣く小売店さん、非効率を強いられる生産現場。

・・・全ての業種業態に共通する、「あるある」。

フラットヘッドの話は聞いておいた方がいい

フラットヘッド ファクトリーミュージアム

出典:Flat head HP (https://www.flat-head.com/news20171023/)

以前、フラットヘッドの小林社長がバンコクにイベントで来られた際に、直接お話をお聞きしたことがあるんです。

フラットヘッドは数年前、増やしすぎたラインナップを社長決裁で一気に減らし、ブランドの強みである品質の追求に立ち戻って、少ないアイテム数で再スタートをしたことがあります。この一度増やしたアイテム点数・ラインナップを減らすのが売上的にも流通的にも非常に大変だった、と。

フラットヘッドはアパレル以外のビジネスの柱もありますし、何より経営手腕の高い小林社長の旗振りのおかげでブランドイメージを高めつつも「アイテム点数を減らす」ミッションを高いレベルで完遂できた、杞憂なブランドだろうと思います。

これは各ブランド運営者にとって、貴重な体験談になるはず。

ウエアハウスは、理想的な展開

ウエアハウス2018SSカタログ

出典:ウエアハウス(http://www.ware-house.co.jp/)

例えば、ウエアハウスは今の地位を作り上げても尚、他のブランドと比べて非常に少ない商品点数しか毎シーズン展開しません。

本当に良いものだけを、自分達の得意とするものだけを、作りたいものだけを、消費者に届けようとする意図が見える。「コテコテのアメカジアイテムばっかりでは流行らないよ」という声も聞こえてくるようですが、最後に残るのはこういうブランドであって欲しい。

利益を求めたプロダクトではなく、理想を求めたプロダクトを手にしたい。

質よりも利益が目的になってしまう・・・これって、アパレルの話だけではありませんよね。

利益は当然、企業活動になくてはならないことですから仕方ない部分はあります。

しかし、誰がどれだけ会社の数字を達成しようが、商品を手にする消費者には関係が無いんですよね。

特に、我々アメカジファンにとって、目の前に良いプロダクト(サービス)があるかどうか、それだけ。

 

物作りの本質の追求が、アメカジブランドの良さ。

それがなくなってしまうと、数多くあるアパレルブランドと一緒になってしまいます。

そして、アイテム点数を著しく増やすことは、その流れに一歩足を踏み入れていると感じたのです。

「あるブランドのカタログを見て」、そんなことを考えさせられた出来事でした。

 

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4 件のコメント

  • またまたコメントします。今回のテーマすごく分かります。展開の幅を広げすぎてセールスポイントが見えなくなっているブランドは数多ありますね。
    ドゥ◯ームなんかはもう何がしたいのか分からない…
    ただ私は現在、好きだったブランドや品番の収集に没頭してます。定番ではないシーズンコレクションでの展開のためヤフオク等でも探すのが非常に困難ですが。
    前の記事にあった見る目を養うではないですが、昔の自分も見る目があるなと自分を誉めてます(笑)

    • >ひでゆきさん
      いつもコメント、ありがとうございます。
      こだわりを持って収集するのって、素晴らしいと思います。
      ただ闇雲に展開の幅を広げたブランドのアイテムって集める気が持てない=所有欲が出ないアイテムが多いですが、
      しっかりとコダワリをもって展開をしてきたブランドのアイテムの数々って、何年経っても魅力的ですよね。
      ぜひひでゆきさんの好きなブランドなんかも教えてください。

      • こんばんわ。僕が好きな(だった)ブランドはフルカウント、ウエアハウスの王道の両者、04年から07年にかけてのコレクションのFAT、同時期のコアファイターというどちらもストリート系ブランド、それとマーカウェア、ユナイテッドトウキョウという全てのプロダクトがメードインジャパンの両ブランドといった感じです。系統の統一感がないですが、ベーシックなアイテムが好きです。
        最近タイに興味があり、タイの町巡りみたいな動画ばかり見てます。バンコクは本当にビッグシティですね。想像以上に近代的な大都市でビックリしてます!

        • >ひでゆきさん
          コメントありがとうございます。好きなブランドの守備範囲が広いですね!こだわりの深さが伺えます。決まったブランド一辺倒よりもそのほうが面白いですよね。
          そういえば、先月発売された雑誌『HOUYHNHNM Unplugged ISSUE 07 2018』で、タイのヴィンテージマーケットの特集がされてました。興味あればご覧ください。
          またコメント、お待ちしております!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    ジャパンデニムの魅力・アメカジの魅力にハマって20年。 ジーンズへの好奇心が日々増大し続ける40代、インディです。 このブログのおかげで、自分の長年の夢であった「最高のジーンズを作る」ことが実現できました。 今は、さらにモノづくりの魅力に変態的にのめりこんでしまい、 メーカーさんも企画しないような、マニアックなディテールのアイテムをマイペースにリリースしています。 このブログを通じて、日本の物づくりの素晴らしさ、そしてプロダクトのディテールの魅力を伝えていくと共に、 自分のオリジナルプロダクトを企画したいという同じような夢を持つ仲間たちに向けて、様々なノウハウをシェアしたいと思います。