こんにちは、インディです。
今日は、個人でオリジナルジーンズを企画する方に、
是非役立てて欲しい、ちょっとしたツールの開発に関するお話です。
目次
最高の経年変化のジーンズを作るために。
ジーンズの経年変化は、実際に履きこみしないと分からない。
個人がオリジナルジーンズを企画する際に、
もし「かっこいい色落ちのジーンズ」がその目標であれば
デニム生地、縫製仕様、様々な要素が複雑に絡み合うため
「結局、作って履き込んで見ないと、わからない」という点に関してはなんどもこのブログでお話ししてきました。
私も頭でっかちで、机上の空論だけで生地を選んでしまったが故に、
随分と回り道をしてきたように思います。
個人でジーンズを企画する場合のボトルネック
その商品(ジーンズ)の企画のために、多くのスタッフと専門特化した知識・ノウハウを有するメーカーさんとは違い、
個人が企画する場合、一つネックになってくるのが、この経年変化のテストです。
毎日、サンプルのジーンズを履いてテストして経年変化を確かめる、と言っても、
まず、サンプルの制作を工場に依頼するにあたり、何万円もかかります。
さらに、例えば1,000時間、テストで履きこもうとする場合、
毎日10時間履いたとしても、数なくとも3ヶ月はかかります。
3ヶ月履き込んだ結果、
「やっぱこの生地は好みじゃないな」
「この縫製糸は合わないな」と、その仕様が「ボツ」なる可能性があるわけです。
もし満足した出来のジーンズを作りたい場合・・・
改めてデニム生地や縫製糸を選んで、お金出してサンプル作って、
また履きこむ時間をかけて、、、というプロセスが必要になります。
そもそも、個人が企画をする場合、
本業=お仕事の兼ね合いで日中、ジーンズを履くことができない人の方が多いはず。
そうすると、履き込みテストを行うこと自体、かなりハードルが高いと思います。
ここが一つの懸念点で、
個人がジーンズを企画する多くの場合、
資金力と時間の兼ね合いで「妥協点」を見出さざるを得なくなるのです。
自由な発想の企画で良いが「良質」でなければならない。
しかし、私がこのプロジェクトを通して目指したいのは、
個人が自由な発想で、生産都合や常識にとらわれない新しい風=サードウェーブジーンズというカルチャーを広めること。
カルチャーとして認められるには、やはり「商品として本物」であるべきと考えています。
もし、個人で企画したジーンズが「妥協の産物」であれば、
このサードウェーブという流れは、企画者の独りよがり、かつ自己満足の、
全くもって、魅力のないものになるでしょう。
「個人が企画したジーンズは発想も面白いし、細部までこだわっていて、クオリティもメーカーさんに引けを取らず高い」
というのが理想。
これで、「日本のジーンズ」は絶対にますます面白くなる。
そう信じています。
そこで「毎日、ジーンズの履きこみが出来ない環境の人でも、企画するジーンズのクオリティを上げるため」
何かできることはないか? というのを考えていました。
その相談もあって先日、JOURNEY FACTORYの重本さんと打ち合わせをしました。
![デニムリペア・リメイクのJOURNEY FACTORY](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2017/03/th_BW6A0646-800x533.jpg)
普段持ち歩く、桃太郎ジーンズのデニム小物入れ
ところで、私が普段使っている「桃太郎ジーンズの小物入れ」。
![桃太郎ジーンズでもらえるデニムの財布](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2017/01/th_DSC07165-800x533.jpg)
桃太郎ジーンズ直営店でジーンズ買って、裾上げを依頼すると、
後日届く、裾上げの切れ端で作られた小物入れ。
どの洋服の、とのポケットにも入るサイズなので、
仕事・プライベート関わらず、小銭入れとして普段持ち歩いてます。
尻ポケットに入れておくと汗を吸うので、たまに洗濯したりして。
シンプルな構造なのでアタリは殆ど出ませんが、
デニム生地の経年変化や手触りなんかは、この小物入れも「桃太郎ジーンズ」そのもの。
これを今回の企画の発想のベースにしています。
お仕事で普段スーツの人でも、
小物入れだったら毎日ポケットに入れておくこと、できるよね、と。
企画するジーンズの経年変化テストができる小物入れの企画
そこで、デニム生地を使った小物入れで、
かつジーンズで使われる縫製やディティールをある程度盛り込んだ、
「オリジナルジーンズ企画用デニム小物ケース」を考えて見ました。
以下、その簡単な企画イラスト。
![](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2017/04/9a549af2687a43101289a552d6248a84-558x800.jpg)
片側には革パッチ、さらに縫製糸を6種類くらい走らせて
革パッチの経年変化と、縫製糸ごとの経年変化、それとデニムの色落ちの相性を見るための仕様。
反対側には耳のアタリが出るようにし、且つバックポケットのアタリを見るために、
縫製仕様はそのままに、小さいサイズにしたバックポケットを設置。
これを毎日ポケットに入れ、使い、洗いを繰り返すことで、
普段ジーンズを履けない方でも、デニムや縫製糸、ピッチなどの経年変化がある程度判断できるのでは、と。
これだと、ジーンズのサンプルを作るよりも
生地も少なく、手間も少なく、コストも安くすみます。
(ボツ案)もっとジーンズに近い経年変化シート。
さらに、「ジーンズに入ってる主要なディテールを全て凝縮したもの」にしたいと思い、
こんな絵も描いて見ました。
![](https://www.aiirodenim.com/wp-content/uploads/2017/04/62d39d9bdc1e6b5d125390e72c02149f-800x555.png)
これだけのディテールを入れると、さすがに小物ケースにするには無理なので、
A4サイズくらいのシートを想定。
普段持ち歩くには不向きなので、
1日1回洗濯して、全体の色落ちや経年変化が確かめられるかな、と思って。
ところ、これに関して、JOURNEY FACTORY 重本さんからアドバイスを頂きました。
「ただ洗濯を繰り返して色落ちさせるのは、加工屋さんに色落ち加工してもらうのと変わらない。」
つまり、実際に履き込んで得られる真の経年変化の姿と、
ただ洗濯を繰り返すことで見える経年変化は質が違うものである、ということでした。
重本さんとしては、ディテールが網羅されてなくても
毎日持ち歩き、人が触れ、汗を吸い、お洗濯する「小物ケース」の方が、
「経年変化を見る」という目的に即しているとアドバイスいただけました。
小物ケースをさらにブラッシュアップした「経年変化チェックケース」ものを企画中。
上記で検討した小物ケース、それをJOURNEY FACTORY重本さんの監修・アドバイスのもと、
ブラッシュアップしたものを、鋭意製作中です。
このオリジナルの「経年変化チェックケース」、近日お見せできるかと思います。
そしてこの「経年変化チェックケース」を今候補にしているデニム生地それぞれで作り、
日々使いこんで経年変化を確認し、最終的なデニム生地を決定する、という流れです。
実際には、経年変化が効率よく見れるものになったか、は使ってみなければ分かりません。
私の方でしばらく使って見て、目的が達成できるツールと言えるレベルであれば、
その作り方(指示書)はこのサイトで無料でダウンロードできるようにしておく予定です。
これからジーンズを企画してみたいという人は、それを自由に使って頂ければと思います。
またそちらに関しては後日ご報告。
本日もご一読、ありがとうございました。
ぜひTwitterもフォローください。
コメントを残す