“Billy(ビリー/半袖デニムシャツ)” 詳細【Lot:BLY】

Billy(ビリー)は「暑い夏でも経年変化が楽しめる最高のデニムシャツ」をコンセプトに企画をした、サードウェーブなオリジナルの半袖デニムシャツです。

ジーンズに限らず、デニムに美しい経年変化を求める場合、それだけ長い期間、愛情を持って多くの回数を着用する必要があります。

しかし、通常アーカイブ衣料のレプリカをベースとしてリリースされている半袖のデニムシャツの多くは、ウエスタンシャツ(長袖にデニムシャツ)をベースに袖をカットオフしただけの設計のものが多く、

そのため夏場には「暑くて不快、着心地が悪い」問題点があり、長く・多く着用することが苦痛なものが少なくありません。

またそのような設計のものは夏場のスタイルそのものに合わせにくく、結果として出番が少ないという問題もありました。

どれだけ良い色落ちの高価な生地や、ヴィンテージな縫製仕様を採用しても、着る機会が少なくてはそのポテンシャルを発揮できません。

 

そこで、夏の定番として経年変化を楽しみながら着用したくなる新しいデニムシャツを作るべく、

①経年変化の楽しみは妥協しない

②夏の「着心地」を追求したディテールをゼロから考察する

この2つのコンセプトに軸を定め、ディテールの考察を繰り返していきました。

AiiRO DENIM WORKSのやりたいことを詰め込んだ、まさに「サードウェーブ」な一着になったと思います。

【Billy(ビリー)】 型番:BLY

6.5オンスのジンバブエコットンを使ったデニム生地を採用

「夏場でも快適」な衣料であるためには、生地の選択が非常に重要です。

そこに求められるのは、直接肌が触れても不快ではない肌触り、吸汗性、そして通気性。

これらをクリアする可能性のあるデニムとして候補に上がったのが、それらの特性を兼ね備える超長綿のジンバブエコットンを使ったデニム生地です。

今回、その中でも最もライトオンスにあたる6.5オンスの生地をセレクト出来ました。

実は、ジンバブエコットンでライトオンスだからこの生地を選んだ…のではなく、

様々なライトオンスのデニム生地の経年変化テストを繰り返し、最も好みの色落ちに育った生地が、たまたまコレだったのです。

このデニム生地の染めの濃さ、中芯の残り方、ムラ糸と、6.5ozとは思えない作り込みに加え、徐々に緑味が強くなってくる色落ちも私の理想にフィット。

それでいて、夏場に適した特性を持っている訳ですから…まさにこのシャツのための奇跡的な出会いでした。

実際にこの生地でサンプルを作成して着用テストを繰り返し、正式に採用することとしました。

現代的なシルエット

美しい経年変化の一着に育てるには、着用頻度が高い必要があります。

特にシャツのようなトップスはジーンズと違い、経年変化のスピードが遅いので尚更。

その着用頻度を高くするためには着心地の良さだけではなく、ファッションとして「出番が多いルックス」である必要があります。

現代のライフスタイルに合ったシルエットパターンに合わせつつも、

アメカジの軸はぶらさず、

かつシンプルでベーシックであること。

それを実現するために、一度既存の「デニムシャツ」の概念を捨て、ゼロベースで各箇所のディテールやサイズをトライ&エラーの中で調整を繰り返し、作り込んで行きました。

パンツにインしても、出しても良いバランスに気をつけたシルエットにしています。

前身頃と後身頃の裾の長さに差をつけたボックス型。

ジーンズはもちろん、チノパンやミリタリーパンツ、またハーフパンツでも万能に対応可能です。

脇は若干ラウンドカットを施すことで、パンツのポケットに手を入れた状態でも収まりの良いようにしています。

襟の形への工夫

パターンを作る際に、最も優先順位高く考察をしたのが「襟」です。

シャツのカッコよさを決めるのは襟。

アメカジだけでなく様々なシャツを研究し、最もイメージにあう襟の形状・高さをベースにミリ単位で調整しました。

この台襟(だいえり)と呼ばれるパーツで襟に高さを出し、立てています。

徹底した着心地への工夫

今作品は細部に渡り、夏場の着心地を改善させるための工夫を凝らしています。

その一つがヨーク部分です。

通常のデニムシャツでは、その前&後身頃の上部=肩ヨークの切り替え部分は生地2枚重ねになっています。

それは肩部分の補強の役割を持つディテールなのですが、それがデニムシャツの通気性を損ない、また重く着心地を悪くさせる要因の一つです。

そこで、このBillyでは、前身頃・後身頃、それぞれの肩パーツ生地を、巻縫いでつなぐ形にしました。

2枚重ねるのではなく、1枚ずつを繋ぐ構造をとり、重さや硬さ、そこからくる着心地が悪い問題を解消しています。

また、その肩パーツの切替部分と袖の切替を一直線で結ぶ縫製パターンにしており、シンプルになりがちな後ろ姿のちょっとしたアクセントにしています。

背中の工夫はもう一つ。

通常のデニムシャツはシェイプされたシルエットのせいもあり、着用時に背中が窮屈に感じます。

そこで、後ろ身頃にプリーツを入れて背中の可動域を広げて、日常の着用時のストレスを軽減しています。

快適性を考えたシャンブレー使い

夏のデニムシャツの着用時に不快感を感じるポイントとして、首元の「蒸し暑さ」が挙げられます。

首元は何枚ものデニム生地が重なるポイントで、通気性も悪く、物理的に重く、内部に湿気がたまりやすい箇所です。

そこで今回、その首元のような快適性が重要なパートにはインディゴ染めのシャンブレー素材を採用することにしました。

シャンブレーは平織(ひらおり)という織り方で作られた生地になり、綾織(あやおり)で組成されているデニムよりも通気性・肌触りの点で優れています。

もう一箇所はフロントポケット裏。

特にこのフラップ部分もやはりデニムが何重も重なっている箇所であり、かつ普段は見えない部分なので、重さと通気の悪さををシャンブレーで解消しています。

この部分だけ見ると微々たる差でしかありませんが、その差をいくつも積み上げていますので、袖を通して頂いた際には新しい着心地を体験いただけるかと思います。

これはお遊びですが、裾脇の補強にはこのシャンブレーの耳部分を使用しました。

袖の隠しシャンブレー・セルビッチ

先ほどと同じ理由で、袖の出口にもシャンブレーをひっそりと採用しています。

このおかげで袖通しが快適になります。

このシャンブレー部分にも、セルビッチ部分を贅沢に使用しています。

人には見えない部分であり、着用者自身の自己満足にあるような仕様ではあります。

しかし…

暑い時に袖を折り曲げる…そのようなシチュエーションの際に、このシャンブレー+セルビッチがチラリ。

ちょっとしたお遊びのギミックになっています。

メタルボタンを採用

通常のデニムシャツはポチッと留める「スナップボタン」が採用されています。

しかし、そのスナップボタンは、オス側に2つのパーツ、メス側に2つのパーツ、合計で4つの金属パーツで構成されています。

仮にボタンが10個あれば、金属パーツが40パーツになる訳で、ボタンだけで「非常に重い」のです。

スナップボタンはデニムシャツが、デニムシャツであるための、最も特徴的ディテールとも言えるのですが、着心地を損ねるのであれば、そんな固定観念は捨ててしまおうと思った訳です。

そこで、今回YKKさんの数多くのボタンのストックから吟味させて頂き、この4ホールのメタルボタンを採用しました。

今回このボタンを選ぶのにこだわったのは、そのルックスだけでなく「手指の感触」です。

シャツを着脱する上で、必ず触れるのがボタン。

だから、触っていて気持ちの良いボタンが良かったのです。

今回のボタンは、独特の厚みと丸みが、何故だかクセになるシェイプ。

言葉での表現が実に難しいですが、手にとっていただいた方はなんとなく…分かっていただけるかと思います。説明が出来ない(笑)

生地の特性を活かした経年変化デザイン

夏の「定番」として活躍の場を増やすためには、装飾は極力無い方が良いのです。

ぱっと見は、シンプルに、ベーシックに。

しかし、その制約がある中でも、ギリギリまで「かっこいい」を追求したい。

そこで。

フロント部分の「生地の方向」にひと工夫しています。

この写真で、ポケット部とボディの生地の若干の見た目の差が分かりますでしょうか?

デニム生地には「目」というのがあって、方向があるのはご存知かと思いますが、

こんな感じで、生地の目の方向を指定して製作しています。

こうすることで、パッと見は良くわからないけれど、人の視線が自然と胸元に集中する「集中線」を、デニム生地の目の方向で誘導するようにデザインの工夫を施しています。

ぱっと見はシンプルでベーシックなのに、なぜか他のシャツと比べてシュッとしてカッコよく見える…

さらに、デニムの経年変化が進むと、この生地の目の方向がより浮き出してくるので、より明確なコントラストが出てきます。

経年変化させるのがさらに楽しんで頂けるように考えたギミックです。

その他のパーツ

今回のプロダクトネームは、首元が不快にならないように、通気性も吸水性も維持できるコットンローン素材を採用しました。

印刷は単色のスクリーンプリントで行ったため、比較的堅牢度(デザインのかすれに対する強さ)はありますが、それでも長く着用することでカスれてくる雰囲気を楽しめます。

もう一つの裾に取り付けているのはレーヨン製の織りネームになります。

色々なオリジナルプロダクトに装着しているネームでして、今回も芸もなく(!?)裾部分に取り付けています。

このシャツで、唯一アイデンティティを主張するパーツになっています。

縫製糸は烏城物産の30番手のコアスパン糸、くすんだイエローブラウンを採用しました。

コアスパンとは、ポリエステルの芯の周りに綿を巻いた二重構造の糸で、綿糸の経年変化と強度を両立させた糸になります。

100%糸切れが起きない訳ではありませんが、耐久性の部分で向上します。

特に夏場のシャツは汗シミのダメージに加えて洗濯頻度がかなり多くなるため、破損を避けつつ、糸の経年変化も楽しめます。

尚、皆様のお手元にお届けする際には糊のついたノンウォッシュの状態でお届けとなりますが、ウォッシュをかけると特に縦方向に生地が縮みます。

その結果…

特に巻縫い箇所において、このような凸凹したアタリが出てきます。

この辺りは経年変化が好きな方は、萌えポイントかもしれませんね。

経年変化サンプル

こちらは私自身が半年間、着用しては洗うを繰り返したサンプルです。商品の最終仕様とは若干、パターンが違ったり、ボタンの数が違うバージョンなのですが、生地感の雰囲気は参考になるかと思います。

ノンウォッシュではドス黒かったインディゴが、このように深緑が混じったインディゴカラーに経年変化して行きます。

そして、このジンバブエコットンデニムは着込むごとに手触りも驚くほど柔らかくなり、そのせいか、着心地がさらに軽くなります。

サイズおよび販売価格

こちらのオリジナルの半袖デニムシャツ【Billy(ビリー)】。

販売価格は11,200円(+TAX)。

ご購入は、オンラインストアから。

なお、サイズは3サイズ展開。

 

是非ジャストサイズでご着用ください。

サイズの測り方は、こちらをご参照ください。

また、このプロダクト名【Billy(ビリー)】の名称の由来に関して、ご興味ございましたらこちらもご参照ください。

オリジナルの半袖デニムシャツに『Billy(ビリー)』と名付けた、その理由。

2020-05-05