10oz denim shirt(10オンス・デニムシャツ)は、今のデニムシャツ(=ウエスタンシャツ)のフォーマットを細部まで見直し、固定観念に捉われずサードウェーブ的な視点で再構築してみようと企画した、新定番のデニムシャツです。
①(この10ozのポテンシャルを引き出せる)経年変化の期待できるディテール
②(経年変化が見れるくらい着用頻度が高くなるように)現代のライフスタイルに合わせやすいシルエットパターン
③(10ozという通常のデニムシャツよりヘビーだけど)着心地の良さ
という3つのコンセプトの軸を定め、ディテールの考察を繰り返していきました。
【10oz denim shirt(10オンス・デニムシャツ)】 型番:10DS
縦落ち感の強い10オンスのデニム生地を採用
日本の機屋さんが作られた膨大なデニム生地のサンプルの中から、理想のデニム生地を選ぶために続けている経年変化テスト。
その中で出会ったのがこの10オンスのデニム生地です。
経年変化テストをすると、グラデーションのインディゴブルーの美しさに加え、縦落ちが若干、強調された調整がなされた生地になります。
通常、デニムシャツに使われるデニム生地は8オンス程度が多いので、このシャツは若干ヘビーウェイトのシャツという部類になります。
シルエット
今作は経年変化した姿が完成形という考えの元、経年変化の美しさの追求にかなりのウェイトを置いています。
経年変化させるためにはオーナーの着用頻度が高くなければいけません。
そこで、既存のデニムシャツには無い、現代のライフスタイルに合わせやすい「シルエットパターン」を、デニムシャツの世界観を活かした形で製作しました。
また、前身頃と後身頃の裾の長さに差をつけて、パンツから出した着こなしの際のバランス調整を行っています。
裾の形状もフラットです。
ジーンズだけでなく、チノパンやミリタリーパンツ、ウール系のボトムスなどでも万能に対応可能です。
また、通常デニムシャツ(ウエスタンシャツ)では7cm幅のカフス(手首部分)が採用されてますが、よりコーディネートしやすいように、4.5cm幅のカフス+1ボタンを採用。
これはデニムジャケット(いわゆるジージャン)の袖と同じ仕様です。
着心地への工夫
通常、デニムシャツ(ウエスタンシャツ)に使われるのは8oz前後のデニム生地であり、10ozということで、ヘビーなシャツの部類になります。
生地を組成する糸が太いため、8ozデニムよりもハッキリした経年変化が期待できますが、生地が重く、硬くなることは、着心地を損ねることにも繋がります。
そこで、今回は細部に渡り、着心地を改善させるための工夫を凝らしています。
その一つがヨーク部分です。
通常のデニムシャツでは、この前&後身頃の上部=肩ヨークの切り替え部分は生地2枚重ねになっています。
それを10oz denim shirtでは、前身頃・後身頃、それぞれの肩パーツ生地を、巻縫いでつなぐ形にしました。
2枚重ねるのではなく、1枚ずつを繋ぐ構造をとり、重さや硬さ、そこからくる着心地が悪い問題を解消しています。
通常、デニムシャツ(ウエスタンシャツ)はアームのパターンは1枚布です(1枚の布をくるっと巻いて筒状にした袖)が、
今作では2枚のパーツを組み合わせて製作しました。
形状が立体的になり、多少ヘビーな10ozデニムでも着心地を向上させることが出来ます。
後ろ身頃にはプリーツを入れています。
通常のデニムシャツ(ウエスタンシャツ)はプリーツが無く、とにかく背中が窮屈に感じるかと思いますが、このシャツは背中の可動域の幅をしっかり持たせているので、日常的に着用していてもストレスが少ない仕様です。
着心地を考えたシャンブレー使い
10ozというデニム生地は、通常デニムシャツで使うには少々ヘビーな部類に入ります。
経年変化は魅力的ですが、ヘビーな素材を使う際には着心地を損ねないように注意が必要。
そこで今回、着心地の部分でストレスになりそうな箇所に、シャンブレー素材を採用することにしました。
シャンブレーは平織(ひらおり)という織り方で作られた生地になり、綾織(あやおり)で組成されているデニムとは通気性・肌触りの点で良いためです。
この首元はその構造上、何枚もの(デニム)生地が重なって縫製されている部分。
硬く、重たく、見た目にももっさり感がある部分ですが、肌触りと通気性の悪さを少しでも緩和するために、シャンブレーを採用しました。
もう一箇所はフロントポケット裏。
特にこのフラップ部分は、やはりデニムが何重も重なっている箇所。
通気性が悪いだけでなく、デニムが重なることで見た目にもっさりする部分をシャンブレーで解消しています。
これはお遊びですが、裾脇の補強にはこのシャンブレーの耳部分を使用しました。
アンティークタイプのタックボタンを採用
今回のシャツの全箇所において、YKK社製造による14mm、アンティークタイプのタックボタン、スパイラル模様を採用しています。
ボタン自体がクラシカルな雰囲気を持っており、このシャツの重要なデザインの一部となっています。
燻された、くすんだ色をしていますが、使い込んでいくと色は深くなりツヤが出てきますので、着用される方はその経年変化にも注目して頂ければと思います。
UNIVERSALのリベットで打ち抜き、頭を潰して留めるタイプのモノになります。
ボタンホールの縫製糸は黒。
前出のタックボタンと併せて、「デニムジャケット」の雰囲気に近いルックスになっています。
生地の特性を活かした経年変化デザイン
今回採用している10ozのデニム生地は、経年変化すると縦落ち感の強い、面白い生地です。
そこで、その“縦落ち”の経年変化がシャツのデザインとして楽しめる工夫を盛り込んでいます。
具体的に言えば、フロントポケット部分と前肩部分のデニム生地は斜め方向に使っています。
こうすることで、経年変化した姿は、経年変化前とは一味違うデザインを見せてくれます。
その他のパーツ
こちらは織りネームで、ベースは生成り色のレーヨンに、黒&山吹色のレーヨン刺繍を細かく施しています。
レーヨンのため手触りが柔らかく、且つ退色などの経年変化も楽しめるタグです。
この品質表示タグはコットンローン素材の上に不滅インキでスタンプした「スタンプネーム」になります。
製作に手間はかかりますが、その素材感や風合い、着用後の経年変化は魅力的です。
もう一つの裾に取り付けている織りネームは、オリジナルジーンズ『Cherokee』の制作時に仕立てたもの。
経年変化後は色が抜け、刺繍はほつれてきます。
シャツは洗濯頻度がジーンズより多いため、長期的に経年変化を楽しむ前提で糸のダメージによる破損を避けたかったことから、縫製糸は烏城物産の30番手のコアスパン糸を使っています。
コアスパンとは、ポリエステルの芯の周りに綿を巻いた二重構造の糸で、綿糸の経年変化と強度を両立させた糸になります。
100%糸切れが起きない訳ではありませんが、耐久性の部分で向上します。
前身頃と後ろ身頃を合わせる、サイドのチェーンステッチでの巻縫いの裾は切りっぱなし仕様。
このままにして頂いても、切って頂いても、どちらでも構いません。
価格は12,500円(+TAX)。
ご購入は、オンラインストアから。